藤原八弥画伯の「みちのく」について~1

当事務所のホームページの所長(私)の写真のバックにある水彩画のことについて、折角なのでその謂れを少しづつ時間を作りながら書いていこうと思う。

この水彩画の作品名は「みちのく」という。
作者は、岩手県東和町出身の画家、藤原八弥画伯である。
昭和47年の作品で、藤原画伯は大正3年のお生まれであるので、
還暦間近に完成した作品である。

その1
「みちのく」との出会い
この作品に私が初めて出会ったのは、19歳の時である。
私は当時、初代尾上菊乃里に師事し日本舞踊家を目指し、脇目も振らずその道を突き進んでいた。
師匠は伝統的な日本舞踊(歌舞伎舞踊)を上手に踊る舞踊家の育成にとどまらず(というよりそのような舞踊家に興味はなく)古典舞踊も含め各地に残る民俗芸能など日本に伝承されている踊りを人間の魂の躍動の昇華されたものとして表現し、日本人の誇る文化として伝えて行けるダイナミックな舞踊家の育成を目指されていた。したがってやっていたことはチン・トン・シャンだけの世界に留まるものではない。

そんな師匠に連れられ十数人の仲間と共に岩手県北上市に伝わる鬼剣舞と北上市周辺に伝わる鹿踊りを取材に行った時である。

その取材の行程の中に、藤原美術館の見学があった。
北上川のほとりに立つ高床式平家の建物で、数段の階段を上ると、画廊となっており、その中に藤原画伯の作品が飾られていた。

つづく